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北海道で循環器内科クリニックを開業して成功させるためには、どのような点に考慮して計画を立てるべきでしょうか。
このページでは、循環器内科クリニック開業のポイントを解説していきます。開業を検討しているドクターはぜひ参考にしてください。
循環器内科を開業する大きなメリットとして、やはりニーズの高さが挙げられます。高齢者の増加に伴って高血圧や虚血性心疾患をはじめとする循環器疾患も増えていくと見込まれ、実際に内科系クリニックの中でも循環器内科を標榜するクリニックが増えているようです。
また、循環器内科の患者さんは基本的に慢性疾患が多いので、一度クリニックについた患者さんが他のクリニックに流れることが少ないのもメリットといえるかもしれません。
デメリットとして挙げられるのは、循環器内科クリニックは立ち上がりが遅いこと、つまり患者さんが定着するまで時間がかかるということです。イコール収支の安定にも時間がかかるので、そのあたりは覚悟が必要でしょう。 また、循環器内科を標榜するクリニックが多いぶん、当然ライバルも多くなります。人口一極集中型の北海道で開業する場合、開業地によってはかなり苦戦することも考えられます。
循環器内科は患者さんが定着するまで時間がかかるので、最初は一般内科も標榜して集患に努めたほうがいいでしょう。循環器内科にこだわらず間口を広げて、多くの患者さんを受け入れることです。評判が良くなれば専門領域の患者さんが「かかりつけ医」として認めてくれますので、そうなれば後は循環器内科専門クリニックとして十分に運営していけるようになるでしょう。
デメリットでお伝えしたことにも通じますが、競合先を軽視して診療圏調査をおざなりにすると、特に都市部では何カ月たっても閑古鳥が鳴くようなクリニックになってしまうかもしれません。また、車社会の北海道でクリニックの立地やアクセス性に難があると、よほど特化した医療機能を持つクリニックでない限り患者さんは来てくれないでしょう。
診療科によっては患者さんの季節変動が大きく、開業当初から多くの患者さんを受け入れるためには開業のタイミングを慎重に図る必要があります。循環器科の場合、重篤な心疾患などは別ですが、クリニックで診るような慢性疾患であればそれほど季節変動を考えなくてもいいかもしれません。
違う視点で大切なのは、現在の勤務先を円満に退職できる時期を見極めることです。開業後に患者さんの紹介を受けることもあると思いますので、良好な関係性を保っておくことは経営面でも非常に重要です。そういった部分からも開業のタイミングを決めていきましょう。
内科系診療科の中でも、循環器内科は消化器内科と並んで標榜するクリニックが多く、北海道の場合は特に都市部において競合先が多くなることが予想されます。エリアの人口推移、疾病推移などを踏まえた診療圏調査をしっかり行なった上で、開業地を決めていく必要があるでしょう。
循環器内科に特化した専門クリニックにしたいというドクターも多いのですが、最初のうちは幅広い内科領域の患者さんを受け入れ、徐々に循環器疾患の割合を増やしていって他院との差別化を図る、そのような戦略を取ったほうが無難かもしれません。まずは多くの患者さんに来てもらって、足元の経営状態を良くすることから始めることをおすすめします。専門性を前面に打ち出していくのは、それからでも遅くありません。
循環器内科クリニックの診療報酬は、当然ながら評判によって大きく変動します。どれだけ多くの慢性疾患の患者さんに継続して通院してもらえるか、症状が出始めた初診患者さんに選んでもらえるか、他院から患者さんを紹介してもらえるか、そういったところにかかっています。
経営が軌道に乗ってくれば、一般内科の患者さんをある程度の割合で受け入れていたとしても、診療報酬の年間総額は1億円を超えるようになるでしょう。そうなると、医療法人化を検討してもいいかもしれません。
循環器内科の開業当初はX線撮影装置や超音波検査装置などの導入が必須となりますが、それ以外にはあまり高額な医療機器は必要としないでしょう。内装もそれほどお金をかける必要はなさそうです。平均するとテナント開業で6,000万円程度がおおまかな開業資金の目安ではないでしょうか。
次に年収です。循環器内科医師という括りでの平均年収は統計データに存在しませんが、内科全体では約2,400万円(2018~2019年)となっています。(※)現在では新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、少なからず変動していることが予想されます。
※参照元:[PDF]中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査」
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/22_houkoku_iryoukikan.pdf)
どの診療科にもいえることですが、クリニックの開業時やまだ収益が不安定な時期には、まとまった資金が必要になることも多いと思われます。
北海道は地方銀行や信用金庫のフットワークが軽い印象で、クリニックの開業融資にも積極的に取り組んでいるようです。また、日本政策金融公庫の新規開業融資も金利面や返済期間で有利な制度があります。このほか、北海道医師会の特約融資制度を利用するのもいいでしょう。
※参照元:[PDF]北海道医師会公式ホームページ「北海道医師会のススメ」
(http://www.hokkaido.med.or.jp/about/pdf/nyuukainoshiori.pdf)
クリニックの開業にあたって最初にとりかかるべきは、診療方針やコンセプトをしっかり固めることです。これが定まっていないと、開業準備の途中でプランが迷走してしまう恐れがあります。
立地に関しては、ターゲットとする患者層によって選択の幅が変わります。働く世代をメインターゲットにするのであれば駅近くのテナントもいいでしょう。高齢者であれば住宅地にほど近い、アクセス性に優れた場所が有利です。北海道は車社会ですから、患者さんの交通手段も考慮した上で立地を検討していきます。
循環器内科の場合は導入する医療機器が比較的決まり切っているので、あとは価格の問題でしょう。もちろんドクターが使い慣れている機器が望ましいのは間違いありませんが、複数メーカーを比較して可能な限り初期投資を抑えたいところです。
内装に関しては、循環器内科の患者層を考慮すると小児科や女性診療科のようなお金のかけ方をしなくても、清潔感とプライバシーへの配慮がなされていれば十分ではないでしょうか。
オープンが近くなったら、スタッフの募集を開始します。ホームページの準備も進めていきましょう。特に昨今は若い世代以外でもホームページを見てクリニックを選ぶことが多いので、その完成度は集患に直結すると考えてください。
また、開業に際しては行政に対するさまざまな手続き・申請が必要です。これは専門的な知識を要するので、経験豊富な開業コンサルタントに任せたほうが無難です。申請の不備などで開業スケジュールに影響するような事態は避けなければなりません。
さまざまなハードルを乗り越えて実現したクリニックのオープン、ドクターにとっても感無量といったところでしょう。
循環器内科は立ち上がりに時間がかかると申し上げましたが、加えて診療報酬の入金も2カ月後からになるため、開業当初は収入が少ないことを覚悟してください。したがって、資金的な余裕を持って開業を迎えることが重要です。