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北海道で乳腺外科クリニックを開業して成功させるためには、どのような点に考慮して計画を立てるべきでしょうか。
このページでは、乳腺外科クリニック開業のポイントを解説していきます。開業を検討しているドクターはぜひ参考にしてください。
まず、乳腺外科でクリニックを開業するメリットとデメリットについて、さまざまな視点から考えてみましょう。
いうまでもなく、乳腺外科は女性特有の診療科です。女性活躍社会の実現が求められる現代において、女性の健康管理のためにも非常に重要な診療科だといえるでしょう。特に乳がんに対する予防医療の面では欠かせない存在です。
しかし、検診機関も含めて乳腺外科クリニックの数はまだ十分とはいえません。特に北海道は都市部・地方ともに乳腺を専門とする医療機関は不足傾向にあるため、医療ニーズが高いというのは開業を検討しているドクターにとって間違いなくメリットとなるでしょう。
乳腺外科クリニックの開業にこれといったデメリットはありませんが、強いて言うのであればスタッフの確保が大変、ということが挙げられます。基本的に乳腺外科クリニックはスタッフを全員女性にすることがほとんどですが、女性のマンモグラフィー放射線技師など確保が難しい職種もあります。女性特有の診療科だけに、そういったスタッフ確保が上手くいかないと患者さんが離れてしまうというのは乳腺外科ならではの悩みといえるかもしれません。
次に、乳腺外科クリニックの開業を成功に導くポイント、逆に失敗につながってしまうようなポイントを見ていきましょう。
まず、ドクターが女性であればそれだけで成功の可能性は飛躍的に上がります。また、診療の幅を広げていくことも乳腺外科には必要な戦略です。たとえば授乳期の乳房トラブル対応を打ち出していけば産婦層からもかかりつけ医として頼られるかもしれません。近隣の基幹病院などと連携を取っていけば、乳がん手術後の経過観察など紹介を受けられるでしょう。
男性ドクターの場合、よほど丁寧かつ誠実な姿勢を見せなければ、乳腺外科では患者さんの評判を呼ぶことはできません。また、女性のマンモグラフィー放射線技師が確保できなければ、特に検診における受診率低下につながる可能性があります。
標準的な医療を行なうだけでは成功につながるとは限らない、というのが乳腺外科の難しいところかもしれません。
他の診療科もそうですが、現在の勤務先を円満に退職できるタイミングで開業することが、後々の連携をスムーズにさせるポイントになります。
乳腺外科はそれほど大型の医療機器を必要とする診療科ではありませんが、女性目線でゆったりとした空間づくりのために広めのスペースを確保する傾向にあります。クリニックのメインターゲットは40代から60代の女性、特に乳がん検診では病院慣れしていない人たちが来院することを想定して、待ち時間を気持ちよく過ごせる環境づくりが大切です。
近年、乳がんの知識は急速に一般に浸透しているように思われます。今後は乳がん検診の需要も増えていくと考えられるため、競合先との差別化戦略を打ち出すことも重要です。乳がん検診といえば産婦人科を連想する人も多いので、乳腺外科という診療科の認知度を高める工夫もこれからは求められるかもしれません。
乳腺外科の開業にはマンモグラフィーや一般X線撮影装置、超音波検査装置などの医療機器導入が必須です。ビルテナント開業だとすると、開業資金は8,000万円程度を見込んでおいたほうがよさそうです。
年収に関しては、乳腺外科医師としての平均年収は統計データに存在しません。ただ、北海道内の勤務医の求人をみると年収は1,200万円から2,200万円と、大きな幅があることがわかります。
北海道の場合、クリニック新規開業の融資は都市銀行よりも地方銀行や信用金庫のほうが、較的フットワークが軽い印象があります。また、日本生活金融公庫の新規事業融資も金利面で有利なためおすすめです。
いずれにしても、資金調達に必要な書類をドクターが作成するのは少々無理があります。開業コンサルタントなどの専門家に相談したほうが安心です。
それでは、クリニック開業までにどのような作業をこなしていかなければならないのか、最低限必要なプロセスを説明しましょう。
どの診療科でも、診療方針やコンセプトの策定が開業への長いプロセスの初めにやるべきことです。そこがしっかりしていないと、何を決めるにしても考えがぶれてしまい、プランが迷走してしまうかもしれません。 どんな患者さんにどんな医療を届けたいのか、そういったクリニックの土台ともなるべき理念をきちんと考えておきましょう。
診療方針やコンセプトをもとに、事業計画を立てていきます。この事業計画は金融機関からの融資を受ける際にも重要な資料となるため、いかに実現性の高い計画を作成するかがポイントです。可能であればこの段階で開業コンサルタントなどの専門家に相談し、事業計画が適切なものか検証してもらうことをおすすめします。
乳腺外科クリニックの新規開業に必要な設備はある程度決まり切っているので、あとはメーカーの選定と価格交渉です。必ず相見積もりを取って、可能な限り初期投資を抑える方向で検討しましょう。 内装は女性目線で考えることが大切です。無理におしゃれなイメージを打ち出す必要はありませんが、最低でも清潔感があってプライバシーが保たれる空間づくりは心がけるべきです。
クリニックのオープンが近づいたら、スタッフの募集やホームページの準備を始めます。前述の通り確保が難しい職種もあるので、募集の方法や利用媒体は工夫が必要です。ホームページは今や必須の時代だと考えてください。あらゆる世代がホームページを見てクリニックを選ぶので、その完成度は集患力に直結します。
また、開業に際しては行政や監督官庁へのさまざまな届出が必要になります。そこに不備があると開業スケジュールに影響するので、専門的な知識を持った開業コンサルタントに任せたほうが無難だといえます。
長いプロセスをひとつひとつクリアしてたどり着いたクリニックのオープン、ドクターにとっても人生の節目となるイベントです。ただ、そこはゴールではなくスタートです。
乳腺外科は開業してすぐに多くの患者さんが来るということはまずありません。加えて診療報酬の入金が2カ月後ということもあり、開業当初は収入が非常に少ないことを覚悟する必要があります。資金的な余裕をもって開業を迎えることが大切です。