公開日: |更新日:
北海道で産科・婦人科クリニックを開業して成功させるためには、どのような点に考慮して計画を立てるべきでしょうか。
このページでは、産科・婦人科クリニック開業のポイントを解説していきます。開業を検討しているドクターはぜひ参考にしてください。
産婦人科クリニックを開業する最大のメリットは、ずばり「やりがい」ではないでしょうか。生命の誕生に向き合う産婦人科は、開業医の中でも特にやりがいを感じやすい診療科だといわれています。妊娠・出産を中心に、患者さんが喜ぶ顔を見る機会が多いのもやりがいにつながるはずです。
また、北海道は2014年当時で女性10万人あたりの産婦人科医の数が全都道府県中43位と、非常に少ないといえます。開業の需要が高い診療科だといえるでしょう。
※参照元:厚生労働省|平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/)
やりがいという大きなメリットがある一方、産婦人科医はお産の対応など時間を問わず働く必要があるというデメリットもあります。近年におけるワークライフバランス重視の風潮の中で、産婦人科医の志願者が急減している理由もこのあたりにあるのでしょう。
また、訴訟リスクが高いというのも産婦人科のデメリットだといわれています。
まず、女性特有の悩みや疾患で受診する診療科であるため、女性医師であれば「相談しやすい」という点で強みになり、成功する可能性も高くなります。
また、美容医療との組み合わせで成功している事例も多くあります。本来であれば美容医療の領域は集患に莫大なコストがかかりますが、クリニックの女性患者さんに「女性医師がいるため女性特有の悩みを相談しやすい」とアピールすることでマーケティングコストが抑えられ、患者さんも気軽に受診できることから収益性の向上が期待できます。
他の診療科にもいえることですが、開業エリアのニーズを見誤ることは失敗に直結します。診療圏の届出出生数と競合先の状況をしっかり分析しておかなければなりません。
産婦人科は「分娩」や「不妊治療」を取り入れるか否かによって設備が増え、初期投資は高額になります。ただ、月々の債務返済を考えると、開業してすぐにでも患者さんを受け入れたいところです。診療圏の出生数が低調だったり、競合先が多かったりすると分娩の受け入れ数は伸びないので、経営に支障が出てきてしまうでしょう。
全国各地で人口の地域格差が問題となっているエリアが多々ありますが、その最たる例は北海道でしょう。日本の総面積の約2割を占める広大な面積を有する一方で、人口の一極集中化が進んでいるからです。それに伴って医療資源の偏在化も課題となっており、都市部におけるクリニックの激戦区を生む原因にもなっています。
全国的に出生率が低下している近年、産婦人科系クリニックでも経営が苦しくなるケースが増えてきました。札幌市のような都市部でも状況は変わらず、やむなく閉院を選択するクリニックも少なくありません。また、北海道の産婦人科系クリニックは「里帰り出産」の件数が収入に大きく影響するケースが多くみられますが、それが目下の新型コロナウイルス感染拡大によって減少していることも経営を厳しくしている要因のひとつでしょう。
こうした状況を踏まえると、産婦人科の開業は難しいと思えるかもしれません。しかし、淘汰が進んでいるからこそ、高い専門性を強みとするクリニックを開業して成功させるチャンスともいえます。まずは綿密なマーケティングに裏付けられた開業候補地の絞り込みが必要です。
とはいえ、そういった作業をドクターだけで行なうのは極めて困難です。北海道の地域医療に精通した、プロの開業コンサルタントの力を借りることをおすすめします。
北海道には約2,700のクリニックが存在し、そのうち約120が産婦人科系クリニックです(2022年11月現在)。人口10万人あたりの産婦人科系クリニック数は全国平均の3.78施設に比較して2.35施設と、北海道は不足傾向にあります。
ただし、上記はあくまでも対人口比としての相対的なデータに過ぎません。エリアの出生率や競合先の状況を踏まえて開業候補地を絞り込んでいくべきです。
※参照元:地域医療情報システム公式HP(https://jmap.jp/cities/detail/pref/1)
産婦人科はどちらかというと季節変動の少ない診療科ですが、開業のタイミングに影響する要素がないわけではありません。
たとえば、子宮がんなどの婦人科健診もクリニックにとっては大切な収入源です。婦人科健診の補助金が交付される時期は自治体によって異なるため、開業エリアを管轄する役所などで事前に確認してから開業時期を決めたほうがいいでしょう。
産科・婦人科という領域において開業に大きく影響するのは、女性医師が在籍しているか否かです。何といっても産婦人科は女性医師へのニーズが高いので、それだけで集患の成功率が大きく変わります。
また、産婦人科医が不足しているのは確か(※)ですが、分娩を行なわない産婦人科医に限るとそれほど少なくありません。したがって、産婦人科クリニックを開業する場合は第一に競合が少ないエリアを選ぶことです。妊娠、出産だけではなく、子宮頸がんや子宮体がんの増加に伴って、年齢に関わらず女性が訪れるのが産婦人科です。人口密集地はもちろん、郊外でもニーズはあります。
競合が多いエリアで開業する場合や、男性医師の場合は、クリニックに何らかの強みが必要です。特に不妊治療に関して高い技術や豊富な実績があるのなら、ホームページ等で前面に打ち出していく広告戦略が有効でしょう。不妊治療以外でも、自由診療やオンライン診療など強みを出していく領域の選択肢は多いので、医療機器などの投資と立地、競合を踏まえた方針を検討していくべきです。
※参照元:時事メディカル|「産婦人科医に政策的なインセンティブを~持続可能な周産期医療体制の実現に向けて~」(https://medical.jiji.com/column4/92)
産婦人科クリニックの開業資金は、分娩や不妊治療、人工中絶手術などをどこまで手がけるかによって大きく変わってきます。
たとえばドクター1人、分娩なしのテナント開業であれば5,000~6,000万円程度を見込んでおく必要があります。分娩を行なうのであれば病床も必要なので、投資額は大きくはね上がります。不妊治療も一般的なものから高度生殖医療まで幅広いので、それこそ投資額は「ピンキリ」です。
次に産婦人科医の平均年収をみてみましょう。統計データによると、建物・設備に対する内部資金込みで、入院ありの場合は約8,500万円、入院なしの場合は約1,800万円(2018~2019年)となっています。当然ながら、分娩を受け入れると収益も格段に違います。もちろん、分娩を行なえば必ず経営が安定するとは限りません。投資もランニングコストも高額になるため、分娩が入らず病床が空いたままだと赤字額も大きくなってしまいます。
※(pdf)参照元:中央社会保険医療協議会|「第22回医療経済実態調査」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/22_houkoku_iryoukikan.pdf)
産婦人科クリニックは設備投資が高額なため、開業時から経営が安定化するまでにまとまった資金が必要になることも多いでしょう。
北海道では、都市銀行よりも地方銀行や信用金庫のほうがクリニックの融資に積極的な印象があります。金融機関以外の資金調達方法としては、北海道医師会の「特約融資制度」なども知られています。
また、北海道の場合は産婦人科クリニックの誘致制度を設けている自治体もあります。条件に合致すれば数千万円の助成を受けられることもありますので、確認しておいたほうがいいでしょう。
※(pdf)参照元:北海道医師会公式ホームページ|「北海道医師会のススメ」(http://www.hokkaido.med.or.jp/about/pdf/nyuukainoshiori.pdf)
産婦人科領域では、日本産科婦人科学会が認定する産婦人科専門医資格が広く知られています。不妊手術や人工中絶手術を行なう場合は、母体保護法指定医師の認定を受けなければなりません。
クリニックの開業プランを立てる場合は、まず経営理念やコンセプトを固めることから始めましょう。開業予定地を検討する際には、綿密な診療圏調査と競合調査が必須です。産婦人科であれば当然、届出出生数の確認も含まれます。
分娩を行なう場合は相応の建物と土地が必要になるため、一等地にそれほどこだわる必要はありません。むしろ静かな環境で、駐車場が確保できる物件が向いているでしょう。緊急時に備えて、自宅の近くに開業するドクターも多くいます。
分娩を行なわない場合は、多少狭くても問題ありません。町の中心部や駅の近くなどの好立地を選ぶべきです。
産婦人科は多くの医療機器を取りそろえる必要がありますが、費用もさることながら重量の問題もあります。特に重い機器を搬入する場合は、搬入経路と耐荷重を確認しなければなりません。
また、内装やレイアウトは分娩の有無で大きく異なります。分娩を行なう場合は同伴の男性が立ち入るエリアを明確に分けるなど、プライバシーの確保を徹底しましょう。待合スペースなども同様で、防音や密閉にも配慮が必要です。
オープンが近づくと、スタッフを採用しなければなりません。看護師や事務員に加えて、分娩を行なう場合は助産師も必要です。
内装が整い次第、ホームページの準備も進めましょう。TwitterやインスタグラムなどのSNSを事前に確認する患者さんも多いので、集患を考えるうえではSNSの活用も検討すべきです。
また、クリニックの開業には行政に対するさまざまな申請が必要です。この手続きは専門的な知識がなければ難しいので、すべてをドクターが行なうのは無理があるでしょう。ここは経験豊富な開業コンサルタントに任せてはいかがでしょうか。
いよいよオープンを迎え、ドクターにとっては経営者としての人生も始まります。
しかし、どんな診療科であっても、すぐに多くの患者さんが来てくれるということはあまりありません。
診療報酬の入金は2ヶ月後から始まるため、それまでは無収入でもクリニックを運営できるよう、開業時は資金的な余裕を持っておくことが必要です。