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開業を考え始めたばかりの医師にとって、開業までに必要な作業や資金調達、実際の経営などを具体的にイメージするのは難しいでしょう。そんなときに心強い味方になってくれるのがクリニック開業コンサルです。 ここではクリニック開業コンサルの種類や業態についてお伝えします。
クリニック開業コンサルを選ぶ場合に注目すべきポイントはいくつもありますが、まず考えたいのは「無料コンサル」と「有料コンサル」のどちらを選択するかということです。
どちらにも相応のメリットがありますが、選択次第でクリニックの運営に大きな違いが出てきます。
無料のコンサルティング会社は調剤薬局チェーンや医療機器ディーラー、税理士事務所など、本業に付随するサービスとしてクリニック開業のコンサルティング業務を行なっているケースがほとんどです。したがって、コンサルティングが無料である代わりに本業の部分で何らかの発注をすることが暗黙の了解といえます。
立地や物件、診療科によっても異なりますが、クリニック開業には少なくとも数千万円の資金が必要です。もちろん、経営が軌道に乗るまでの運転資金も用意しなければなりません。そう考えると、開業までに必要なコストを抑えられるという意味で無料のコンサルティング会社の利用には大きなメリットがあります。
ただし、無料のコンサルティング会社の中にはクリニックの開業ノウハウが乏しいところもあるようです。依頼する前にしっかりリサーチして、開業実績が豊富な会社を選ぶようにしましょう。
医療機器・製薬・医薬品卸会社は多くの医療機関との取り引きによってさまざまな情報を得ており、それがコンサルティングを行なう上で強みになります。勤務医時代から付き合いのある会社なら、気軽に相談しやすいというメリットもあるかもしれません。とはいえ、こうした会社のコンサルティングはあくまでも本業に付随するサービスのひとつであり、クリニック開業に特化したコンサルティング会社に比べるとどうしても知識やノウハウの部分で引けを取ってしまいます。開業に必要な作業をワンストップで請け負うような手厚いサポートは期待できませんし、開業後の経営支援なども難しいと思われます。
その会社から医療機器や医薬品を購入する場合に付随するサービスとして利用する、といった程度の向き合い方が良さそうです。
税理士や行政書士、社会保険労務士といった士業によるコンサルティングは、顧問先に医療機関が多いなど専門特化した事務所が手がけています。
税務や労務、法務に関して専門家のサポートを受けられるのは非常に魅力ですが、それぞれの事務所に依頼すると横の連携が取れず、開業準備に支障を来たすこともあるので注意しましょう。また、集患のための広告宣伝など専門外の領域のサポートはほぼ受けられません。
士業系のコンサルタントは事前にサポート内容をしっかり確認し、開業後に請け負ってもらいたい業務を検討した上で依頼することをおすすめします。
クリニックの建築設計に積極的なハウスメーカーや設計事務所、不動産会社なども開業コンサルティングを行なっている場合があります。
物件の紹介や建築施工における専門的なアドバイスなどが主なサービスですが、それ以外の領域でサポートを受けることは難しいと思われます。また、どうしても建築設計が優先されるため、クリニックの採算性が二の次になってしまうリスクもあります。通常は建物が完成した時点でコンサルティングも終了するため、開業後のサポートは期待できません。
まずはひと通りの開業準備に精通したコンサルタントに依頼し、その上でさらに建築設計に力を入れたい場合に建築系コンサルタントを利用するのがいいでしょう。
調剤薬局チェーンによる開業コンサルティングは自社の店舗数を拡大することが目的ですが、クリニックの集患が調剤薬局の利益にも直結するので、開業後も手厚いサポートを受けられるのが大きなポイントです。調剤薬局チェーンとの連携を視野に入れている場合は、ぜひ利用を検討したいところです。医療モールでの開業を考えている場合も、併設の調剤薬局で開業コンサルティングを行なっていないか調べてみましょう。
クリニックの経営に関する支援の中でも、特に広告宣伝をはじめとした集患に関するサポートは充実しています。クリニックと調剤薬局は共生関係にあるため、開業したらコンサルティングもおしまい、ではありません。開業後も長く付き合っていけるのも調剤薬局系コンサルタントを選ぶ大きなメリットです。
有料のコンサルティング会社の多くはクリニックの開業・経営に特化しており、開業の準備におけるあらゆるプロセスをきめ細かくサポートしてくれます。建築設計や不動産、医療機器ディーラー、広告代理店などさまざまな業者と連携しているので、ニーズに応じた提案や紹介を受けられるのもメリットです。
会社の規模は大小さまざまで、費用も大きく異なります。開業準備に必要な作業をひととおり任せたい場合や、自分で開業準備を行なうことに不安がある場合は、こうしたコンサルティング会社に依頼したほうが確実で安心かもしれません。
事業計画書の作成から行政手続きまで、開業までに必要な作業を一括で依頼する場合の費用相場は、おおむね200~300万円程度見込まれます。
これは決して安い金額ではありませんが、開業準備の作業をすべて自力で行なう苦労を考えると、プロのサポートを受けたほうがスムーズに事が進むのは間違いありません。何より開業という人生の一大イベントを迎えるドクターにとって、煩わしい事務作業から解放されることはストレスを大きく減らしてくれるはずです。
クリニックの開業にあたって非常に重要なミッションのひとつが「コンサル選び」です。どのような領域をどの程度サポートしてほしいのか、自身でしっかり決めた上でニーズにマッチしたコンサルタントを探す必要があります。
そして忘れてはならないのが、ドクターとコンサルタントは「人と人との関係」であることです。相性が合わなければコミュニケーションが上手く取れず、思うように開業準備が進まなくなる可能性もあります。料金やサポート内容だけではなく、コンサルタントの人間性にも着目して選ぶことが大切です。