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北海道でクリニック開業するにあたって物件選びの前にやるべきこと。それは、クリニック物件のタイプや特性を把握です。このページでは、戸建て・ビル・医療モールの3タイプの物件における、メリット・デメリットを紹介します。開業後に失敗した!ということにならないためにも、ご自身が開業したい診療科は、どんな物件に開業すると集患がしやすいのか?という経営視点で、最適な物件選定をしてください。
戸建て開業は、新規建築と自宅の改築、既存物件の居抜きなどケースによって、開業までの費用や期間は大きく変わってきます。戸建ての主なメリットは、外観や院内インテリア、動線設計などの自由度が高いこと。予算次第では、思い通りの城を築くことができるため、満足度も高くなるでしょう。
一方、主なデメリットとしては、一般的に開業までの費用と時間がかさむことが挙げられます。各種業者との打ち合わせにとられる時間も多くなるので、勤務しながらの開業準備はかなりハードになることが想定されます。また、札幌、函館、旭川などの都市エリアを選んだとしても、多くの場合は郊外、住宅街での開業になるでしょうから、クリニック開院の告知や集患活動を行わないと、開業したこと自体を知っていただくことができません。また、駐車場併設も必要になります。
ビル開業とは、オフィスビルや商業ビルにテナントとして開業することを意味します。札幌や函館、旭川であれば、駅チカなど繁華街にも十分候補地があるようです。ビル内にクリニック開業をする主なメリットは戸建て開業よりも初期費用や時間が抑えられることと、都市部には豊富な選択肢があるということ。潜在患者の全体数が多めになるのも好立地ならではの強みです。
主なデメリットは物件ごとに一定の制約があって戸建て開業と比べて自由度が低めになることと、繁華街であればあるほど競合性が高くなってしまうことです。
医療モールとは運営主体の異なる複数の医療機関が集まっている施設を意味します。札幌や函館、旭川の中心部だとひとつのビルに複数のクリニックが入っているビル型もあるでしょうし、郊外だと路面店形態でクリニックが並ぶビレッジ型もあります。
主なメリットは単独開業よりも費用や集患といった点で有利なこと。別な診療科目のクリニックを利用する患者が潜在顧客となりますし、駐車場など設備を共有化できます。
メリットとしては医療モール運営企業次第で、設備や内装を制限されるケースがあること。また、競合クリニックがあると新規の開業が難しいケースがあります。
診療圏調査とはマーケティング調査の一種で、開業候補地に1日あたり何人程度の外来患者が期待できるか、潜在的需要を調べることを意味します。調査項目は主に以下の3つに分類することができます。
クリニック開業に向いている土地には、以下のような特徴があります。
どんな業界にもいえることですが、需要が供給を上回っていればそれだけでビジネスとして成立しやすくなります。
クリニックの開業も同様で、医療のニーズ(=需要)が医療機関数(=供給)を上回っているエリアであれば集患が見込めるでしょう。
競合先となる同じ診療科の医療機関がエリア内に少なければ、必然的に患者さんから選ばれるクリニックとなるでしょう。
また、エリア内に同じ診療科の医療機関があったとしても、そこの評判が芳しくなければ狙い目のエリアだといえます。
クリニックの認知度は、人や車の通行量に加えて「人目につきやすいか否か」によって決まります。ビルクリニックなら1階、中心街なら駅から徒歩3分以内といった条件なら認知度は自然と高くなるでしょう。ただし、角地かどうか、信号待ちの場所から目につくかどうかによっても変わってきます。また、目立つ看板を出せるのも好立地の条件です。
ただし、心療内科や泌尿器科、美容外科など、通院していることを知られたくないと感じる診療科であれば、人目につきやすいエリアでの開業が向かないケースがあるので注意しましょう。
物件の種類に関わらず、条件が良ければ坪単価も高くなるのが当然です。しかし、だからといってすぐに諦めてしまうのも考えものです。
坪単価が高いということは、それだけ集患が見込めるという見方もできるかもしれません。そして実際に集患力が高い物件ならば、それだけ広告宣伝費を抑えることもできるでしょう。単価だけで物件を選ぶと、トータルで損をしてしまうケースもあるのです。
へき地のクリニックでない限り、一般内科の患者さんの多くは住まいが徒歩圏内にあるか、もしくは通勤圏内だと考えていいでしょう。そのため、中心街なら駅から徒歩3分以内、ビルなら1階のテナントが理想的です。
耳鼻咽喉科や皮膚科、眼科、精神科など、特定の疾患に対応するマイナー診療科の場合は、内科などのメジャー診療科よりも広範囲からの集患を見込めます。
もちろん前述のような「駅近」「ビル1階」といったアドバンテージがあるに越したことはありませんが、必ずしもそうした条件を満たさなくても問題ありません。車で10分以上かかるようなエリアでも十分にクリニックの診療圏として成立するでしょう。
産婦人科や美容皮膚科などの超マイナー診療科や日帰り手術を行なう診療科は、さらに広いエリアから患者さんが通院してくれます。北海道の場合、地方から通院する患者さんの利便性を考えると、特急が止まる駅から徒歩圏内という立地がよさそうです。
患者層が絞られているので、ビルクリニックであれば上層階でも集患にはそれほど影響はないでしょう。
続いて、クリニックの物件選びで見るべきポイントを紹介します。
診療科やクリニックの規模によって、必要となるスペースは大きく異なります。想定される待合人数、導入する機材のサイズ、車いすでもすれ違える通路の幅などを考慮しながら適切なスペースを計算しましょう。スペースが広すぎると賃料の無駄ですし、狭ぎると診療に支障をきたします。
診療科によってはCTなど大型の検査機器を導入するケースがあります。その場合は十分な容量の電源が供給できるか、必ずチェックしておきましょう。
車で通院する患者さんを多く見込んでいるなら、クリニックの前面道路が一方通行ではないか、反対車線からでも入りやすいかなどを確認します。
医療機器の設置には、最低でも2,400mmの天井高が必要です。天井走行式X線装置など特殊な医療機器の場合は、さらに天井高が必要となるので注意が必要です。
現状はもちろん、改修工事が必要な場合に床下工事が可能かどうかも確認しておきたいところです。
エレベーターの有無はもちろんですが、車いすでの移動や杖歩行に支障をきたす段差などがないか細かくチェックしておきましょう。
一般的な事務所仕様のビルであれば耐荷重300kg/m2が基本ですが、大型の医療機器はそれを上回る総重量となる場合があります。
看板を建物外に設置できるかどうかは集患に大きく影響するため、必ず確認しましょう。
新築のテナントでない場合は、1981年に施行された建築基準法改正に伴う新耐震基準を満たしている建物かどうかを確認しましょう。もし新耐震基準を満たしていなければ、改修工事を行なう際に制限が生じる場合があります。
古い建物であれば、アスベストを使用しているかもしれません。患者さんやスタッフの健康を害することがないように、アスベストを使用している建物は避けたほうがいいでしょう。