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わが国では医師が医師会に加入することは義務ではありませんが、実際の加入率は高いと思われます。
クリニックを開業する場合、医師会には加入しておいたほうがいいのでしょうか。そのメリット・デメリットを改めて考えてみましょう。
国内には日本医師会を筆頭に47の都道府県医師会と約920の郡市区医師会が存在し、いずれも独立した職能団体です。
日本医師会は医療政策に関する提言や生命倫理に関する問題の解決など、国内の医療や福祉・保健を推進させることを社会的な役割としています。一方、都道府県医師会や郡市区医師会は医療の現場の視点を持ち、予防医療や在宅医療をはじめとした地域医療の発展につながる活動を独自の判断で行なっています。
日本医師会に加入すると、都道府県医師会との共催による研修会や実地研修に参加できます。日本医師会が刊行する「日本医師会雑誌」「日医ニュース」を購読できるのも加入者のみです。
また、会員専用の「日本医師会医学図書館」は多くの医学関連図書や国内外の医学系雑誌を取りそろえており、文献調査だけではなく貸し出しや複写サービスも利用できます。
北海道内の多くの郡市区医師会は自治体からさまざまな保健事業を受託しており、健康診断や予防接種、がん検診などがその代表です。
このような受託事業に参加できるのも医師会に加入するメリットで、保険診療以外の収入を確保できるほか、クリニックの認知度も高まるでしょう。
医師会員は日本医師会が運営する「医師賠償責任保険(医賠責)」に加入できます。
民間の保険会社でも医師賠償責任保険を取り扱っていますが、この医師賠償責任保険は万が一医療事故による紛争が起きた場合に、保険会社だけではなく日本医師会、都道府県医師会のサポートも受けられます。
日本医師会は年会費が、都道府県医師会や郡市区医師会は年会費に加えて入会金もかかります。特に開業医の入会金は決して安いものではなく、開業時の経済的負担として重く感じられるかもしれません。
医師会の多くは入会金・年会費を非公開にしているため、クリニック開業時に入会を検討している場合はあらかじめ問い合わせておきましょう。
医師会に加入している開業医は、夜間や休日の当番医を輪番制で受け持つ場合があります。
学校医への対応や介護保険の審査などを依頼されることもあります。医師会活動の委員などに任命されれば、その仕事もこなさなければなりません。ある程度は業務が増えることを覚悟しておいたほうがよさそうです。