公開日: |更新日:

第三者継承開業

第三者継承開業とは

第三者継承開業とは、すでにあるクリニックを受け継ぎ、開業することです。継承するのは親子などの血縁関係のない、第三者であることが特徴。
個人病院の場合は保健所への届けや社会保険事務所への申請など煩雑な届出が必要ですが、医療法人の場合は理事長の交代だけで継承できます。

メリット・デメリット

第三者継承開業のメリット

第三者継承での開業は、今まである施設ごと受け継ぐため、低コストでの開業が可能です。患者や医療スタッフもそのまま引き継ぐことができ、事業としてゼロからスタートするリスクが少ないメリットがあります。
また、周辺地域ですでに認知されており、医師会への入会もスムーズ。信頼度が高いため金融機関からの融資も受けやすいでしょう。

第三者継承開業のデメリット

院長交代のタイミングで患者離れのリスクがあります。方針の違いや相性などから、既存スタッフとの関係が悪化する恐れもまたデメリットでしょう。
また、譲る側と自分の継承できるタイミングが合わないことも考えられます。既存の施設をそのまま引き継ぐので、自分の思ったような施設の規模や医療設備が整わないこともあります。

第三者継承開業の流れ

すでに継承したい人と話が持ち上がっている場合は良いのですが、これから継承してくれる病院を探す場合は、以下のような流れになります。

  1. 開業希望地や時期、診療科目、コンセプトなどを考える
  2. クリニック継承の仲介業者に相談する
  3. 秘密保持契約書・仲介契約書を締結
  4. 継承クリニックの候補を選定
  5. 継承クリニックの内見・院長と面談
  6. 継承を決定
  7. 継承元と継承条件の調整を行い、基本合意書を締結
  8. 買収監査を実施
  9. 最終条件の調整、最終譲渡契約書の締結
  10. 継承を実施、支払いをして継承完了
  11. 保健所へ診療所開設届提出・検査、地方厚生局に保険診療医療機関の指定申請

継承開業の費用

クリニックを継承する場合の費用は、一般的に継承元の院長が引退後にどのくらい生活資金などを必要とするかで希望価格が変化します。
クリニックの規模にもよりますが、相場として2,000〜4,000万円を想定しておくとよいでしょう。
仲介業者に依頼した場合は、業者が適正価格を定めることもあります。その際、手数料は10%程度となり、300〜400万円を支払うことになります。
場合によっては、受け継いでくれるなら対価は不要というケースもあります。

継承する場合の注意点

資産や負債の有無

親子間での継承と違い、第三者での継承は資産や負債があるかよくわからない場合があります。引き継いだ際に、クリニックのために使える資産や負債を特定し、何を引き継ぐのかを明確にしましょう。

内装・医療機器の老朽化

引き継ぐということは、すでに建物や医療機器が老朽化している可能性があります。できるだけコストをかけずに開業できるメリットはありますが、内装の改装や医療機器の買い替えが必要であれば、多くの費用がかかってしまいます。
特に、特殊な診療や処置を行っているクリニックの場合は注意しましょう。