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北海道で形成外科クリニックを開業して成功させるためには、どのような点に考慮して計画を立てるべきでしょうか。
このページでは、形成外科クリニック開業のポイントを解説していきます。開業を検討しているドクターはぜひ参考にしてください。
形成外科を開業する場合は皮膚科や美容外科を併せて標榜することが多く、老若男女問わず美容医療への関心・ニーズが増えている昨今、保険診療と自由診療の両方に対応することで幅広い世代の患者さんを受け入れられます。
また、他の診療科に比べると、形成外科は症状の急変など緊急性の高い患者さんは多くありません。医師もプライベートな時間を確保しやすいので、長時間労働など勤務医時代の過酷な勤務環境が原因で開業を決意したのであれば、とても大きなメリットを感じられるのではないでしょうか。
外科系の診療科は設備が高額になりがちですが、特に美容医療を展開する場合は医療機器の導入コストが高く、レーザー機器などは1台1,000万円を超えるものもざらにあります。クリニックのレイアウトや内装にも相応の投資が必要なことを考えると、相応の開業資金を準備しなければなりません。
また、形成外科は審美性も重視される診療科です。患者さんの治療に対する期待も大きく、それだけにクレームも多くなることを覚悟しておくべきです。
形成外科の領域はWEBによる集患の割合が高くなるため、アクセスの良い立地が有利です。最寄駅から徒歩数分圏内の立地や、昼間人口の多いランドマーク的な建物の近くだと集患面では成功の可能性が高くなるでしょう。
また、形成外科を整形外科と混同している患者さんも多いので、どんな症状、状態を治療対象にしているのかを積極的にアピールして専門性を前面に押し出すべきです。美容医療を展開するのであれば、男女の動線を分けてロッカーやパウダールームを設置するなど、プライバシーの確保とアメニティにも力を入れることも集患につながります。
開業に失敗する形成外科クリニックの多くは、開業時にお金をかけすぎてしまったこと、つまり過剰投資による資金繰りの悪化に苦しんでいるようです。特に美容医療の領域は前述のとおり医療機器が高額なため、開業当初は治療メニューを絞り、経営が軌道に乗ってから設備を充実させたほうが無難です。
広告戦略と設備投資で集患を目指す向きもあるようですが、特に札幌などの都市圏で大手の美容クリニック相手だと、その戦略だけではまず勝ち目はありません。少しずつ評判を高めていく努力をせずに、高額な設備投資で勝負するのは失敗のリスクを高めます。
診療面だけを考えると、形成外科は患者さんの季節変動は少ないため、それほど開業時期にこだわる必要はなさそうです。
しかし、北海道ではさまざまなエリアで再開発の動きが出ています。形成外科クリニックはアクセス性が重要なので、人の流れが大きく変わる可能性があるエリアで開業を検討する場合は、オープンのタイミングを慎重に検討すべきです。
形成外科は一般の患者さんにはなじみが薄いせいもあり、開業する形成外科医の多くは皮膚科や美容外科を併せて標榜するケースが多いのはお伝えしたとおりです。
北海道で新規に開業する形成外科クリニックの多くは札幌を中心とした都市部に集中しており、いずれも得意分野を前面に打ち出して集患を図っているようです。形成外科領域だけでは十分な集患が望めないエリアでは、あえて整形外科も標榜して外傷の患者さんが来やすくしたり、美容皮膚科も標榜してほくろやいぼの除去を希望する患者さんを受け入れたりと、同じ形成外科クリニックでもさまざまな開業スタイルがあります。
開業資金は設備や医療機器にどれだけ投資するかで大きく異なりますが、ビルテナントの形成外科クリニックを最低限の設備でスタートさせるなら、おおむね5,000万円程度の開業資金を準備する必要があるでしょう。ただし、美容医療を手がける場合は初期投資が大幅に跳ね上がり、開業資金が1億円を超えるケースも少なくありません。
形成外科医の年収に関するデータは存在しませんが、少なくとも勤務医の平均年収を上回ることは予想されます。複数の美容外科クリニックを展開している形成外科医の中には年収1億円を下らないというドクターも少なからず存在するようです。
自己資金が潤沢な場合はともかく、一般的なクリニックの開業では開業時や開業直後の収益が不安定な時期に備えてまとまった資金を確保しておかなければなりません。
主な方法として金融機関からの融資が挙げられますが、金利面で有利な自治体の開業資金融資制度や、北海道医師会が運用している特約融資制度も検討したほうがいいでしょう。
※参照元:北海道医師会公式ホームページ「北海道医師会のススメ」[PDF](http://www.hokkaido.med.or.jp/about/pdf/nyuukainoshiori.pdf)
実際に形成外科クリニックを開業する場合、どのようなプロセスを経て開業に至るのか、必要な作業やクリアすべき課題について一連の流れを紹介します。
あらゆるクリニックの開業にいえることですが、準備段階の第一歩目は診療方針やコンセプトを固めることから始まります。形成外科は専門性の高い診療科なので、診療方針やコンセプトが固まらなければ事業計画も資金計画も現実味のないものになってしまいます。
また、開業までにクリアすべきプロセスを考慮すると、最低でも準備期間に1年は必要です。特に内装工事や設備導入などは必要な時間をあらかじめ把握し、開業予定日から逆算しておおよそのスケジュールを組んでおきましょう。
診療方針やコンセプト、おおよそのスケジュールが決まったら、具体的な事業計画の作成を進めていきます。事業計画は後の資金調達の可否にも大きく影響してくるため、診療圏調査や開業資金の試算、開業後の収支シミュレーションを綿密に行なって検証を繰り返し、実現性の高い内容にしなければなりません。
こうした作業には専門的な知識が欠かせないので、ドクターだけで作業するよりもクリニック開業コンサルなど専門家のサポートを受けたほうが無難です。
美容医療に力を入れれば入れるほど、設備の選定や内装業者との打合せの重要度も高くなります。できる限り費用は抑えたいところですが、ハード面をおろそかにすると集患力にも影響します。プライバシーの確保や女性患者さんの目線に立ったアメニティの充実など、優先順位を決めて投資を割り当てていきましょう。
遅くてもオープンの3カ月前にはスタッフの採用活動を開始しなければなりません。また、内装工事が完了して設備・医療機器が整ったら写真を撮影し、ホームページなどの広告ツールを作成していきます。
また、クリニックの開業に際しては行政に対する各種申請が不可欠です。もし不備があると開業がずれ込む可能性もあるため、この作業も専門的な知識を持つ開業コンサルに任せたほうが安心です。
医師にとって人生の節目となる開業、オープンの日から経営者としての人生も始まります。
ただ、すぐに多くの患者さんが来てくれるわけではありません。形成外科のように専門性の高い診療科で、特に自由診療の領域であればなおさらです。
開業後しばらくは収入がゼロに近くてもクリニックを運営していけるように、運転資金には余裕を持たせて開業を迎えることが重要です。