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呼吸器内科クリニックの開業

北海道で呼吸器内科クリニックを開業して成功させるためには、どのような点に考慮して計画を立てるべきでしょうか。

このページでは、呼吸器内科クリニック開業のポイントを解説していきます。開業を検討しているドクターはぜひ参考にしてください。

呼吸器内科クリニックを開業する
メリット・デメリットは

メリット

日本の人口がピークアウトを迎えて緩やかに減少している近年、呼吸器内科を標榜しているクリニックは反対に増加傾向にあります。これは呼吸器内科のニーズが増えているということを示しており、北海道も例外ではありません。新規開業にあたって呼吸器内科を選択することのメリットのひとつは集患力にあるといえそうです。

また、呼吸器内科を受診する患者さんの多くは喘息や息切れに悩まされています。息切れの症状は循環器疾患が原因であることも多いのですが、その逆もまた然りで、循環器内科を受診しても呼吸器内科に紹介されることもしばしばです。このように循環器内科との親和性が高いため、病診連携・診診連携の体制を整えることで患者さんを確保しやすいのも呼吸器内科の強みかもしれません。

デメリット

デメリットを強いて挙げるなら、呼吸器内科は開業資金が高くなりがちなことです。X線撮影装置はもちろん、ドクターの専門性によってはCT装置を導入する場合もあり、そうなると初期投資は一気に跳ね上がります。 また、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、感染対策の一環として待合スペースを広く確保することが主流になりつつあります。そうなると当然クリニック全体の敷地も広くなり、不動産コストがかさんできます。

成功する開業と失敗する開業とは

成功しやすいポイント

先ほどデメリットとして新型コロナウイルス感染症拡大の影響による不動産コストを挙げましたが、逆に感染対策の観点からオンライン診療を推進し、成功している呼吸器内科クリニックも多くあります。特に検査を必要としない再診患者さんや、睡眠時無呼吸症候群の経過フォローなどにオンライン診療を行ない、完全予約制診療と組み合わせることで院内感染のリスクにつながる待合室の混雑も解消できます。院内の雰囲気は落ち着いているのですが、実際の患者数も収入も増加しています。

失敗しやすいポイント

呼吸器内科クリニックの失敗事例でもっとも多いのは過大投資、要するに「お金のかけすぎ」です。クリニックにはオーバースペックなCTなど、高額医療機器を導入しても稼働率が低ければ、その負担はクリニックの経営に重くのしかかります。開業当初は医療機器の導入をなるべく最小限にとどめ、経営が軌道に乗って患者層が見えてきた段階で新たな医療機器を検討したほうが何かと無難です。

呼吸器内科での開業のタイミング

クリニックのスタートダッシュを成功させるためには、開業時期をいつにするかも大きなポイントです。特に呼吸器内科は季節変動が大きい診療科です。風邪が流行り始める秋口をめがけてオープンできれば、ちょうどインフルエンザワクチンの接種時期にも重なりますので、初年度から患者さんの認知度を高めることができるでしょう。

呼吸器内科の医院開業・医師開業・クリニック開業
動向情報

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、呼吸器内科クリニックの新規開業にも表れています。コロナ禍で開業を躊躇しているドクターも多い中、現状を「ライバルが少なく、患者さんは多い」と前向きにとらえ、発熱外来を併設して開業に踏み切るドクターもいます。そこはドクター一人ひとりの考え方だといえるでしょう。

呼吸器内科の診療報酬

呼吸器内科を標榜するクリニックは増加傾向にあり、それだけ競争も激しくなっていると考えられます。成功している呼吸器科クリニックの場合、年間の診療報酬総額が1億円を超えるケースもあるでしょう。そうなると、税務面から医療法人化を検討したほうが良さそうです。

開業資金や年収/月収

呼吸器内科クリニックの開業資金は内科系診療科の中でも高額になりがちです。平均するとテナント開業で6,500万円程度がおおまかな資金の目安ですが、CTなど高額な医療機器を導入するのであれば投資額はさらに上がります。逆に、医療機器の選定次第では開業資金を抑えることも不可能ではありません。

次に年収をみてみましょう。呼吸器内科医師の平均年収は統計データに存在しませんが、内科という括りでは約2,400万円(2018~2019年)となっています。(※)このデータは令和元年当時のため、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で変動が予想されます。

※参照元:中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査」
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/22_houkoku_iryoukikan.pdf)

呼吸器内科の開業時や収益が不安定な時期にまとまった資金が必要になった場合

戸建て開業かテナント開業か、また医療機器の初期投資がどのくらいかによっても変わりますが、呼吸器科クリニックも開業時や経営が安定する前はまとまった資金が必要になることも多いでしょう。

北海道の場合は都市銀行よりも地方銀行や信用金庫のほうが、クリニック開業の融資に積極的な印象があります。また、金利や返済期間で有利な条件を目指して日本政策金融公庫の新規事業資金融資を選択するのもいいでしょう。

このほか、金融機関に頼らない資金調達方法として北海道医師会の特約融資制度もおすすめです。

※参照元:北海道医師会公式ホームページ「北海道医師会のススメ」
(http://www.hokkaido.med.or.jp/about/pdf/nyuukainoshiori.pdf)

クリニック開業コンサルに
相談するメリットや選び方

開業までの流れ

開業プラン・立地の検討

呼吸器内科に限ったことではありませんが、開業準備で真っ先に行なうべきはクリニックのコンセプトや診療方針を明らかにすることです。北海道も都市部は呼吸器内科の競争が激しいので、ある程度は一般内科も受け入れるなど幅広い患者層に対応する必要があるでしょう。

テナントであれば広めのスペースを確保できる駅近くのビルを探すのがおすすめです。高齢者のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などをメインに診療していきたいと考えているなら、住宅地からアクセスしやすい立地を狙います。

設備の選定や内装の打合せ

呼吸器内科は感染症と切っても切れない診療科です。前述のとおり広めの待合スペースや、複数の診察ブースを設ける必要があります。車いすや酸素ボンベを利用している患者さんのために、バリアフリーはもちろん、通路の幅にも配慮したいところです。

クリニックの準備と各種申請

オープンが近づいたら、スタッフの募集を開始します。看護師や事務員のほか、呼吸器内科の場合はX線撮影件数が多いので診療放射線技師を採用したほうがいいでしょう。

内装工事が完了したら、ホームページの準備も進めます。昨今はホームページを見て来院する患者さんが多いので、その完成度は集患に直結すると考えてください。特にクリニックの強みを前面に打ち出すことは必須です。

開業に伴う行政手続きは、万が一不備があると開業スケジュールにも影響します。ここは専門的な知識を持つ開業コンサルタントに任せたほうが無難でしょう。

開業

ようやくこぎつけたクリニックのオープン、ドクターにとって喜びもひとしおでしょう。でも開業はゴールではなくスタート。ドクターは経営者としての人生も始まるわけです。

すぐに多くの患者さんが来てくれるといいのですが、そうそう上手くはいきません。仕事の成果である診療報酬の入金は2カ月後になるため、それまで無収入でも運営できるように資金的な余裕を持って開業する必要があります。