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「開業医の総量規制」という言葉をご存じでしょうか?今後、都市部ではクリニックの新規開業に制限がかかる可能性があることが、厚生労働省の検討会により示唆されています。
医師として将来開業を考えている方にとって、無視できない動きです。本ページでは、この「開業医の総量規制」について詳しく解説します。
2024年9月、厚生労働省の有識者検討会にて、医師の地域偏在を是正するために「開業医の新規開業に許可制を導入する」という案が議論されました。
東京や大阪といった都市部では医師が集中しやすく、一方で地方では医師が不足している状況が続いています。これにより、地域によって受けられる医療の質や量に大きな差が生まれているのです。
現在のところ、開業制限の対象地域や制度の詳細は正式に決定されていませんが、「医師が過剰に多い地域」での新規開業に対して、一定の制限を設ける方向で議論が進められています。
将来的には、開業する前に「行政の許可」が必要となるエリアが出てくる可能性があります。
都市部は人口が多く、患者も集まりやすいため、医師にとっては開業に適した環境です。その結果、開業希望が都市部に偏り、地方には医師が行き届かなくなってしまいました。
地方では院長の高齢化や後継者不在による閉院が相次いでおり、地域医療体制が脆弱になっています。総量規制には、こうした過疎地の医療を守る狙いがあります。
地方で医師不足が深刻化すると、少ない医療機関に患者が集中し、対応が追いつかなくなります。診療の質が落ち、住民の健康を損なうリスクが高まります。
医療が受けられない地域では、若い世代が生活の場を都市部に移すようになります。これにより過疎化が加速し、地域の経済活動も縮小していくことが懸念されています。
2024年9月には厚労省主導の「医師偏在対策推進本部」が発足し、12月には具体的な対策案も提示されました。
規制の開始時期は明言されていませんが、早ければ2025年以降に制度が始動する可能性があります。今後開業を考える方は、医師偏在に関する政策動向を注視する必要があります。
医師が不足している地域では、補助金や支援制度が手厚くなる可能性があります。これにより、地方での開業を前向きに検討するドクターにとってはメリットとなるでしょう。
医師が必要な地域に配置されることで、地域ごとの医療の質が底上げされ、住民全体の健康維持に貢献する仕組みが期待されます。
医師偏在の是正は、国として取り組むべき重要課題です。都市部への過度な医師集中を防ぐため、今後クリニックの開業には制限がかかる可能性があります。
「どこでも開業できる時代」は終わりを迎えつつあるのかもしれません。将来の開業を見据える医師の方は、地方の医療ニーズにも目を向け、柔軟に戦略を立てることが求められています。